サンタクロースとしての自尊心が激しく傷つけられた。これが三十五年間必死に頑張って来たサンタクロースとしての最後の仕事なのかと思うと少し淋しくなった。しかし、そう感傷に浸っている暇があるなら、とっととこの馬鹿げたプレゼントを終わらせてしまおうと思い、進藤は掌を広げそこに呪文を唱えた。
どこからともなくキラキラと輝く小さな星が舞い降り、ティンカーベルもどきの冬の妖精が進藤の掌にチュッとキスすると、突然真っ白な閃光がパッと放たれた。
みるからに不細工なみたらしだんごが進藤の掌の上に乗っていた。ダンゴの大きさもバラバラで、一番下のダンゴなどは『みたらし』が串からダラダラと垂れていた。
その串に刺された丸い物体は、何を隠そうトナカイの糞だった。一番下のダラダラした液体は下痢糞というサプライズだった。
これがサンタエキスプレス本部に知れれば、即刻サンタを解雇され、それなりの懲罰を受けるだろうと思った。
しかしもうどうでも良かった。解雇も懲罰も上等だった。それよりも、この糞ダンゴを食った瞬間の少年がどんなリアクションを取るのだろうかと思うと、そ康泰旅行社 っちのほうが興味深かった。

再びリビングに戻ると、チーズ臭いイタリア人はまだ交わっていた。心無しかそのチーズの香りは部屋中に充満しているように感じた。
二人のセックスは、今まで進藤が見た事も無いような激しいものだった。まさに獣のような下品なセックスだった。
しかし、そんな下品なセックスが、下品な進藤を刺激した。ヌポヌポと肛門をピストンする巨大なフランクフルトを覗き込みながら、自分の股間にソッと手をやった。

猛烈に興奮しているのに、しかし進藤の股間はノーリアクションだった。これが若い頃だったら今頃は六回射精している頃だろうと昔を懐かしみながら、出来る事ならもう一度勃起してみたいもんだと股間を揉んでいると、そこにいきなりキラキラと星が舞い、冬の妖精が現れた。
すかさず進藤は、しまった、っと思った。サンタの手袋を嵌めたまま願い事を唱えると、例えサンタ本人でもその願いが叶ってしまうのだ。そして、サンタが私利私欲でそれをやると、たちまち処罰の対象にされ、即刻資格を剥奪されては厳しい懲罰を与えられるのだ。
しかし、一瞬はしまったと思った進藤だったが、よくよく考えればサンタの資格などもういらないのだと思った。懲罰なんて糞食らえだ馬鹿野郎とまで思った。
冬の妖精はいつものようにクルクルンっと三回転すると、進藤の股間にチュッとキスをした。進藤の股間がパッ! と輝いた。すかさず股間に手を当ててみると、実に懐かしい感触が掌にコリコリと伝わって来たのだった。

サンタズボンを太ももまでズリ下げた進藤は、女の体を隅々まで覗き込みながらダイナミックにペニスをシゴいた。そして、二人の結合部分に小便を引っ掛けたり、女の大きな胸に亀頭をクイクイと押し付けたりした。
しかし、どれだけ悪戯しても二人は全く反応しなかった。サンタのガウンを羽織っている以上は、何をしてもそれは四次元の世界の出来事だった。引っ掛けた小便も現実には物体は無く、いわゆる進藤だけに見える幻だった。
これではさすがにつまらなかった。せっかく懲罰覚悟でここまでしているの康泰自由行 だから、それなりにリアルに感じたかった。

一瞬、進藤はこの筋肉質の男を凍らして身動きできないようにし、サンタガウンを脱ぎ捨てた生身の身体で女を犯してしまおうかと、そんな鬼畜な考えが頭に過った。
そう思えば思うほど興奮して来た。今まで三十五年間、文句のひとつも言わずに黙々と頑張って来たんだ、最後くらいは自分にプレゼントをあげてもいいじゃないか。そう頷いた進藤はサンタガウンのボタンにソッと指をあてた。
が、しかし、その時、ふと違う考えが進藤の頭を過りボタンを外そうとしていた指が止まった。