林心如372380-XXL

俺は一旦、牧野を放して、パンツのポケットを探った。
取り出したのは、新作ジュエリーの展示会で牧野が見ていた、花のリング。
それを、牧野の左の薬指に通した。
 
牧野が驚いた顔をしている。
お前、これ見てただろ?」
なんで知ってるの?」
好きな女の楊海成 することを見逃すはずねえだろうが、この俺が。」
 
それに、これは、俺がお前のためにオーダーしたリングなんだからよ。
デカイ石の派手なリングなんて、お前つけねぇだろ?
試しにショーケースに並べてもらったら、案の定、このリングに釘付けだっただろ?
 
たぶん、俺は、お前以上に、お前のことわかってるぜ。
この数か月、ずっと見つめてきたんだ。
 
しばらく、指輪を眺めていた牧野が、顔を上げて、
ありがとう、道明寺。大切にします楊海成 。」
と微笑んだ。
 
 
俺はもう一度、今度は優しく牧野を抱きしめて、
それから、初めて唇を重ねた。
 
好きな女と交わす、初めてのキス。
こんなにも幸せになれるなんて、知らなかった。
 
道明寺・・風邪、うつしちゃう・・」
だからって、やめられねぇ。
 
ほんと・・チュッ、だめ・・チュッ、だって・・チュ。」
往生際の悪い女だ。
 
まだ何かを言おうとしている牧野の口腔内に舌を入れて、言葉をふさぐ。
んっ、んん・・んっ。」
鼻にかかったような声にそそられる。
そのまま、思う存分、キスを堪能する俺。
支えていた牧野の体から、力が抜けるのが分かった。

 どれぐらい眠っていたんだろう。
少し気分が良くなってきて、誰かの話し声で目が覚めた。
 
まぁ、つくしの上司の方ですか?こんな、素敵な方が?まぁ、まぁ。あの子ったら、仕事のことを全く話さないんですよ楊海成 。こんな素敵な方の秘書をしているなんて。」
とママの声が聞こえる。